Twitterで書いていた掲題のスタメン予想をした理由と相違点の考察をします。ついでに3-3-2-2の優位点と今後の予想も軽く。

私のスタメン予想は
FW
タリク・石原(直)
CM
山田・未月
WB
(冬一)・馬渡
※()は断定していなかった為
CDM
三幸
DF
坂・岡本・大野
GK
富居

以上の通りでした。
正解は下記画像です。
20200221

まずポジション毎にスタメン予想の根拠です。
フォーメーションはルヴァンと同じ3-3-2-2と予想し、実際採用されました。

DF&GKはルヴァンとほぼ同じだろうと予想していました。連携の重要性が高いポジションですし、選手のタイプによって簡単に序列が変わるポジションでは無いからです。
特にGKは新加入選手との連携を少しでも早く進める為、当分はカップ戦も含め富居を起用するでしょう。実際ルヴァン初戦からの変更点は大野→大岩のみでした。ほぼ正解かつ前述の通り選手のタイプで序列が変わるポジションではなくメンバーによって守備戦術を変える訳でもないので特にコメントはありません。

続いてアンカー。この試合のスタメンはここがポイントです。
ここは三幸と予想していましたが、実際は福田が務めました。
三幸と予想していたのは、対4-4-2におけるこのポジションは比較的フリーになりやすくパスの起点になるポジションであることから、ゲームメイク能力の高い選手が入ることになると思ったからです。

何故かを書く前に湘南が採用した3-3-2-2と4-4-2の並びを見てください。

基本形

実は3-5-2(3-3-2-2)は元々、大流行した4-4-2に対抗する為に作られたフォーメーションで、並びとして非常に有利です。
まずバックラインですが、2トップに対し常に1枚の数的優位があります。
一般的に2トップには3バック、1トップ・3トップには4バックが優位と言われており、当時の4-4-2における強力な2トップに対しマンマーク+スイーパーで守るというのが初期の3-5-2における大きなコンセプトでした。
続いて中盤。ここが最も優位を作れるポイントです。対面する相手中盤に対し中央にフリーを作れるのが非常に有利です。勿論試合中は流動的に選手が動く為常時このポジションに選手がいるわけではありませんが、ニュートラルなポジションで優位を取り本来の形を崩すリスクを与えることは間違い無く戦術上有利で、特に新フォーメーションで新シーズンに挑む浦和にとってはやりにくいであろう形と言えます。

さてアンカーの話に戻りますが、上記よりこの形でのアンカーは実際にはボールの起点となり司令塔としてのプレイが求められます。ここに私はルヴァンと同じく両足で高精度のボールを配球できる三幸が入ると予想していました。
実際に起用されたのは福田でしたが、その差異がどこにあったのかを考えてみます。
まず選手としての特徴として、福田は逆足の精度や展開力では三幸に劣りますが十分なパス能力があり、特に高速のラストパスが秀逸です。この試合ではロングパスも5本成功させており、三幸が入る場合と同じ仕事を与えられていたのは間違い無いでしょう。
三幸との比較で福田の優位が見えるのは走力です。福田は三幸よりも自分で奪うことと前線への運動量に優れています。この運動量が起用のポイントだったのではないでしょうか。

※この辺でコロナによる延期が決まって心が折れました。続き書きます。

続いて両ウイングバックです。
ここも予想を外しましたね。左右どちらも出来てインテリジェンスに長けた馬渡が確定、左右の枠を右なら石原広教(以下広教)、左なら鈴木冬一(以下冬一)の起用と考えていましたが実際には馬渡が外れ上記2人がスターティングメンバーに名を連ねました。

1つ起用意図の手掛かりとして考えておきたいのが、私が予想を外した三幸・馬渡両選手共通してスタメンから外れただけではなくベンチ外だったということです。
これは福田・広教・冬一を起用したいというポジティブな理由だけでなく、三幸・馬渡をこの試合では起用したくないと思う理由があったのではと思います。

試合を見ていると湘南は攻撃時思っていた以上に流動的で、ストッパーの攻撃参加も複数回見られました。相手からすると流動的な攻撃参加は捕まえにくく、浦和も対応にはかなり神経をすり減らしたはずです。
その反面当然ながら3バックの攻撃参加は非常にリスクが高く、それに対するリスクマネジメントでの連携が要求されます。この流動性と連携を開幕初戦で発揮するには『新加入選手の起用を抑える必要がある』というのが浮嶋さんの結論だったのではないかと思います。

当初私はこのフォーメーションの採用理由の1つがリスクマネジメントの単純化ではないかと予想していました。主力を含む大量の選手入れ替えがあった湘南で開幕時に高い完成度に持っていくことは並大抵のことではありません。
そこで、浮嶋さんがフォーメーションに関わらず基本としている3-1のリスクマネジメントを念頭に攻撃不参加のフィールダー4人を確定させ、残りのポジションに今いる戦力の中から適任者を並べていく。つまり近い将来のフォーメーション変更、あるいはバリエーションの追加を前提とした臨時の並びではないかということです。
ただ実際の試合で湘南は私が思っていたより遥かに良い完成度となっていて「恐れ入りました」といったところですね。流石です。

ただ、今節で有力な新加入選手を外したことにより、昨年までと同じ湘南スタイルの問題点が今年も課題になりそうだなとは感じました。Twitterでも再三書いていることですが、遅攻の構成力です。
曺監督時代の湘南は強い前向きのベクトルがチーム全体に浸透しており、奪ってからチーム全体が強く押し上げていくフットボールが強みでした。しかし相手の守備が整っている時の構成力や精度に難があり、せっかくのマイボールが中々シュートまで行けなかったり極端な速攻主体による体力の消耗で後半の失点が目立つ等、特に終盤の残留争いで改善の必要を強く感じたサポーターも多かったのではないかと思います。
その点新加入選手の中でも三幸・馬渡の両選手は非常に構成力のある選手です。三幸はJ2ながら典型的なレジスタとしてゲームを組み立てていた選手ですし、馬渡も川崎では守田や家長との連携で時間を作る役割を果たしていたインテリジェンスの高い選手です。
開幕戦こそメンバーを外れましたが彼らがフィットすること、あるいは彼らの持つスキルやノウハウを湘南スタイルの根付いた既存の選手達が吸収していくことが出来れば今後大きく成長できるのではないかと思います。
この辺りについてはもう少し試合数を重ねたタイミングで改めて文章にしたいですね。


コロナによる中断で文章の前半と後半を全く違うタイミングで書いている為いつも以上に乱文となってしまい申し訳ありません。
Jリーグや海外フットボールの再開に伴い今後またフットボールに関して考えていきたいと思いますので、今後とも宜しくお願い致します。


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